矯正専門医ブログ

マウスピース矯正とワイヤー矯正の違いは?

:2021年1月11日 :2020年3月16日

日本矯正歯科学会認定医 歯学博士
増田 丈浩

マウスピース矯正とワイヤー矯正の違いがわかる


マウスピース矯正とワイヤー矯正の違いは何?
最近技術の進歩でマウスピース矯正というのが可能となってきました。

マウスピース矯正の中に様々な商品があります。

マウスピース矯正はアソアライナー、クリアコレクト、キレイラインなどたくさんあります。

ただ現在だとインビザラインが一番メジャー、かつ確実な治療ができるようになりました。

従来からあるワイヤー矯正とどんな違いがあるか順番にご説明していきます。

目次

1.見た目


マウスピースは透明のため装着しても違和感はありません。

少し光沢はありますが、歯が綺麗に見えるという人もいます。

そのため、見た目はやはりワイヤー矯正と比較すると、マウスピース矯正の方が気付かれにくいです。

インビザラインでは、歯の表面にアタッチメントという突起物がつきますが、こちらは歯の色をしています。

そのため、このアタッチメントがついていても、ほとんど他人からは気付かれないでしょう。


《関連情報》インビザラインのアタッチメントって目立つ?痛い?


一方、ワイヤー矯正は装置がつきますから、近くでみると気付かれる可能性はあります。

ただし、現在は材料が進歩してきたのでブラケットといって歯につける装置は、セラミックを使用している医院もあります。

また、白色にこだわっている矯正歯科ではワイヤーも、白色で結ぶ結紮線というのも白色で行なっています。

現在も様々な材料が開発されていますので今後も期待できます。

関連サイト
J-STAGE/審美性に優れた歯科矯正ワイヤーの開発


表側矯正で白いワイヤー、白い結紮線、白いブラケットを使用している審美的に良い口元
いかがですか?

昔はギンギラのイメージでしたが、だいぶキレイになっていますね。

また、ワイヤー矯正には裏側矯正も可能です。

その場合は、見た目はほとんどわかりません。

審美性を考えて裏側矯正とマウスピース矯正で迷われる方も多いです。

下記を参考にしてください。


《関連情報》マウスピース矯正と裏側矯正の違い|どっちを選べばいい?

2.痛みに違いはあるの?


痛みはどうでしょうか?

ワイヤー矯正もマウスピース矯正も、歯を動かす痛みはあります。

では痛みの程度はどうなのでしょうか?

マウスピース矯正の中のインビザラインは、1枚のアライナーという装置で0.25mm歯を動かします。

そのため移動量が少ない分、歯の痛みがワイヤー矯正より少ないと言われています。

またワイヤー矯正は装置がついている分、デコボコしています。

そうするとどうしても唇、舌、頬に当たってしまい擦れて口内炎になったり、痛みが出てしまうことがあります。

一方、マウスピース矯正であれば凸凹はほとんどないので、そうした痛みはほとんどありません。


《関連情報》歯列矯正って痛いの?痛みは対処できれば怖くない!

3.取り外しは可能?

ブラケットがついている写真と矯正治療が終わってブラケットを外している写真

ワイヤー矯正は歯に接着剤で装置をつけますので、取り外すことはできません。

そのため、装置をつけると矯正治療が終わるまで、装置はつけっぱなしです。

一方、マウスピース矯正は取り外しが可能になります。

なので自分のタイミングで装置を外すことも可能です。

ただし、外す時間が長いと矯正治療が成功しません。

マウスピース矯正の場合は、ご飯を食べる時と歯を磨くとき以外は、使用するようなイメージです。

そのため、20時間は最低でも使用しないと、歯が上手く動かない可能性が高くなります。

ワイヤー矯正の場合は外すことができませんので、治療は予定通り進むことが多いです。

面倒くさがり屋や長時間使用する自身がない人は、ワイヤー矯正の方がいいかもしれません。

4.虫歯、歯周病のリスク

虫歯や歯周病の菌

虫歯や歯周病のリスクはどうでしょうか?

やはりマウスピース矯正の方がリスクは低いです。

その理由はわかりますよね?

マウスピース矯正は取り外しができるため、歯ブラシがしやすいためです。

一方、ワイヤー矯正は装置がついておりデコボコしているため、どうしても汚れが溜まりやすいです。

虫歯の治すタイミングや矯正中の予防方法などは下記をご参考ください。


《関連情報》矯正と虫歯の関係|いつ虫歯を治すかなど疑問を全てまとめました!

また、汚れが溜まると歯茎が腫れて痛い場合も出てきます。

いわゆる歯周病や歯肉炎といわれるものです。


《関連情報》矯正治療でおきる歯茎のトラブルは??対策があれば怖くない!


インビザライン であれはアタッチメントはついていますが、ワイヤー矯正と比較してデコボコ具合は少ないためリスクは低いでしょう。

その他にも矯正歯科治療にはリスクもありますので、理解しておいて損はありません。


《関連情報》矯正治療のリスク、デメリット

ただし、矯正治療が終われば虫歯のリスクも減りますので矯正期間中は頑張って歯ブラシをしていきましょう。

関連サイト
北海道矯正歯科学会/矯正歯科治療前後におけるカリエスリスクの臨床的評価

5.ゴムの使用は必要?

矯正治療でゴムを使用している

矯正治療には顎間ゴムといって、患者さん自身に取り外しができるゴムを使用してもらうことがあります。

これらはワイヤー矯正でも、マウスピース矯正でも使用する可能性があります。

どちらも使用しないと、治療期間が長くなったり上手く治らないこともあるので、非常に大事な要素になります。

ゴムを使用する時間は1日20時間以上、使用するのがベストです。


《関連情報》歯列矯正で使用するゴムってどんなもの?

6.インプラント矯正の可否

ワイヤー矯正でインプラントアンカーを使用している

インプラント矯正はメリットが大きい治療です。

治療期間が短くなる場合もあれば、治療ゴールがより高い設定にできる場合もあります。

実はこのインプラント矯正、ワイヤー矯正とマウスピース矯正のどちらでも使用できます。

通常は顎間ゴムというものを患者さん自身が使用しないといけませんが、インプラント矯正をするとゴムを使用しなくてもいい場合が多いです。

これもインプラント矯正のメリットになります。


《関連情報》インプラント矯正|目的と疑問をまとめました!

7.食事に関して


食事はどちらが美味しく食べれるでしょうか?

やはり、外して食べられるマウスピース矯正の方が、美味しく食べれそうです。

ただしワイヤー矯正も、慣れればそこまで変わらないかもしれません。

食べるものに関しては、どちらも最初は柔らかいものを食べた方が痛みは少ないでしょう。

あとはワイヤー矯正ですと、硬いものを食べると装置が外れてしまう可能性がるので、注意して食べる必要があります。

8.矯正治療期間


矯正治療期間はワイヤー矯正、マウスピース矯正でほとんど変わりません。

昔はワイヤー矯正の方が早いと言われていましたが、マウスピース矯正の治療方法が確立してきたので今は変わりません。


《関連情報》矯正治療の期間はどれくらい?


特に最近は技術の進歩がすごいため、マウスピース矯正の方が早い場合もあります。

またインビザラインだと、オーソパルスという加速装置が併用可能です。

通常はアライナーというマウスピースを1週間で交換していくのですが、オーソパルスを使用すると3日交換に変わりますので、治療期間がかなり短くなります。

《関連情報》矯正を短期間に早く終わらせる方法とは!?


また、矯正治療は期間が長いですが、その分、得られる様々な効果があります。

見た目だけが良くなるのではなく、機能的にも良くなっていきます。

例えば、奥歯の負担が少なくなり、歯の寿命が長くなるなどがあります。

知っておくと、矯正のモチベーションも上がるでしょう。


《関連情報》矯正治療の効果について|見た目だけではなく様々な効果があります!

9.対応できる症例


矯正をした方がいい歯並びは意外と多いです。

矯正することによって様々なメリットが出ることも知っておくと良いでしょう。

矯正の必要性や必要な噛み合わせの確認は、下記でしてください。


《関連情報》矯正治療の必要性は何か?|矯正が必要な噛み合わせはこちらです!


ではどちらもどんな症例でも治せるかというと若干の差があります。

まず根本的なところで、ワイヤー矯正はワイヤーがあるため歯を平行に移動することが得意です。

マウスピース矯正はインビザラインであれば、アタッチメントという突起物も付きますので、平行移動は可能ですが、得意な動きは傾斜移動になります。

マウスピース矯正の中でも特徴は違いますが、今回は一番治療が確実なインビザラインだとしてお話しします。

ワイヤー矯正であれば、基本的にどんな症例でも対応可能になります。

ワイヤーを使うため、平行移動、傾斜移動、どんなものでも得意です。

ただし、開咬といって前歯が噛んでいない症例は少し苦手になります。

インビザラインはどうでしょうか?

出っ歯や受け口、ガタガタなどの症例も対応可能です。


《関連情報》インビザラインで出っ歯は治らない?

また開咬に関してもインビザラインは得意になります。

これは大臼歯の圧下といって、骨のほうに歯を押し込むのが得意だからです。

さらに、インビザラインは奥歯を後ろに移動させるのも得意になります。

歯を後ろに移動させることによって、軽度の出っ歯や受け口であれば、抜歯せずに治療することが可能になりました。

これによって、今まで抜歯して治療していた症例が、非抜歯で治療できるようになった症例が多数あります。


《関連情報》なぜインビザラインは歯を抜かない非抜歯の治療が得意なのか!?


少し不向きな症例は出っ歯の具合が大きかったり、口元の突出を治す症例です。

なぜかというと過度の出っ歯や口元の突出は、抜歯をして前歯を大きく平行移動させて治さないといけません。

そのため、移動距離が長いと途中で傾斜してしまう可能性があるからです。

ただし抜歯をするからといって、インビザラインで治療できないということではありません。

ではどのようなときに失敗するかを下記にまとめてあるので参考にしてください。


《関連情報》インビザラインで失敗しない方法


また最近は子供の矯正治療でも、インビザラインで行うことも増えてきました。

子供でも見えない矯正治療を希望される親は昔より増えてきてる印象です。


《関連情報》インビザラインで子供の矯正はできる??

ワイヤー矯正やマウスピース矯正どちらで治療してもEラインや口元はきれいになるため横顔はきれいになります。

女性の方は特に口元を良くしたいという主訴でこられる方が多いです。

そのため、口元の突出で悩んでいる人も矯正歯科に相談に行くと良いでしょう。


《関連情報》矯正でEラインや唇が変化するって本当?

10.ホワイトニングはできる?

マウスピースの中にホワイトニングの薬液を注入している
矯正治療中にホワイトニングはできるのでしょうか?

マウスピース矯正は可能になります。

ワイヤー矯正ですと、治療中にマウスピースを装着することができませんので、ホワイトニングはできません。

ワイヤー矯正の場合は、基本的に治療後になります。


《関連情報》矯正治療とホワイトニングは同時にできる?|費用や順番もまとめました

11.値段


マウスピース矯正とワイヤー矯正の値段はどうでしょうか?

現在、マウスピース矯正の主流はインビザラインなので、こちらと仮定してお話しします。

どちらも矯正歯科によって値段は違いますが、一般的にはインビザラインの方が高い傾向にあります。

この理由としては、インビザラインは材料費が高いからです。

このコストが矯正費用に上乗せされています。

ただし費用は安ければいいというものでもないので、良い矯正歯科を選択しましょう。


《関連情報》良い矯正歯科の選び方|歯科医師が見る8つのポイント

まとめ

ワイヤー矯正とマウスピース矯正の違いは分かりましたでしょうか?

どちらも色々な特徴があったと思います。

ご自身に合うものを選ぶのが一番いいでしょう。

ただ、マウスピース矯正はいまいち信じられない、という人も実際多いです。

そのような方は、マウスピース矯正の効果についてまとめてあるので下記をご参考ください。


《関連情報》インビザラインは効果がある?ない?|疑問に答えます!


最後に表で簡単にまとめておきます。

  ワイヤー矯正 マウスピース矯正
審美性 △〜◯
痛み あり あり(少し弱い)
取り外し 不可 可能
虫歯、歯周病のリスク やや高い 低い
ゴムの使用 必要 必要
インプラント矯正 可能 可能
治療期間 2〜3年 2〜3年
対応できる症例 ほぼ可能 抜歯症例は△〜◯
値段 通常 +10万ほど高いことが多い



最後までご覧頂きありがとうございました。

 

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日本矯正歯科学会認定医 歯学博士


増田 丈浩