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矯正と虫歯の関係|いつ虫歯を治すかなど疑問を全てまとめました!

:2021年1月11日 :2020年8月16日

日本矯正歯科学会認定医 歯学博士
増田 丈浩

虫歯を治す治療器具


矯正治療と虫歯を治すタイミング

矯正治療にとって虫歯は天敵です。

虫歯ができることによって、治療が中断したりして、期間が長くなってしまうこともあります。

また虫歯を治すタイミングについても良くご質問があります。

「矯正中に虫歯ができてしまった」

「虫歯があるけど矯正治療を始めれる?」

など、色々な疑問がある人も多いでしょう。

また、虫歯ができないようにする工夫も大事になります。

まずは、虫歯を治療するタイミングについてお話ししていきます。

目次

1.虫歯がある場合は矯正治療はできる?

虫歯治療をしようとしている先生

虫歯がある場合、矯正治療とどちらを優先するのでしょうか?

結論から言うと、虫歯を先に治療します。

虫歯治療中であれば、虫歯の治療が終わってから、矯正を開始してください。

では、どんな状態であれば、虫歯の治療が必要でしょうか?

色が黒いと虫歯の治療をしなくてはいけないと思っている人は多いです。

ですが、本当に小さい虫歯の場合は、治療しない場合も多いです。

いわゆる、穴が空いていない初期の虫歯は、治療しなくても何十年そのままのこともありますので、無理に治療する必要はありません。

穴が空いている虫歯は、矯正前に治療をしておかないと、治療の妨げになるため治療しましょう。

目で見える範囲であれば穴はわかりますが、歯と歯の間など、見えにくい部分はレントゲンで判断して行きます。

2.虫歯治療する際の被せ物は何がいい?

虫歯の治療が終わった後に被せ物を入れようとしている

矯正する前の虫歯治療で、かぶせたりする場合もあると思います。

その場合はどのような被せ物がいいでしょうか?

答えは、セラミックなど自費治療はしない方がいいでしょう。

できれば保険治療の方がいいです。

この理由としては、被せ物を入れるときは、現在の噛み合わせに合わせて作ってしまいます。

せっかくセラミックなど高額な補綴物を入れても、矯正後は現在と噛み合わせが違っているため、しっかり噛みません。

噛まないと安定しないため、後戻りの原因になってしまいます。

そのため、セラミックなど白色にしたい場合は一旦、保険で治療をしておき、矯正治療が終わってからセラミックを入れるようにするのがオススメです。

仮に白い歯を入れる予定でなくても、矯正後に本当は被せ物をやり直したほうがいいです。


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3.虫歯だらけでも矯正はできる?

虫歯があっても矯正治療ができるか悩んでいる子供

虫歯だらけでも矯正はできます。

ただし、矯正治療を始めるためには、虫歯の治療が終わってからになります。

そのため、矯正の開始が遅くなってしまいます。

また、虫歯だらけの場合は、矯正歯科に先に見せた方がいいでしょう。

理由としては、矯正治療は抜歯する可能性があります。

抜歯する歯の虫歯を治しても、時間とお金の無駄のため、矯正の治療計画が決まってから虫歯の治療をすると良いでしょう。

虫歯が多い人は、その後も虫歯になりやすいため、治療が終わった後も虫歯にならないように気をつける必要があります。

4.矯正治療中に虫歯になったら

虫歯の治療をしようとしている

矯正中に虫歯になったらどうするのでしょうか?

矯正治療中に虫歯になったら、一旦矯正治療は中断して虫歯の治療を行います。

ワイヤー矯正の場合は、できれば装置を取らずに治すようにします。

装置を外してしまうと、矯正期間がその分、長くなってしまうからです。

ただでさえ、虫歯で中断しているので少しでも期間が長引かないようにするのは大事です。

ただし、虫歯が大きいと、装置を外して治療することもあります。

装置が邪魔で虫歯が取りきれない場合ですので、そこまで大きくなることは滅多にないでしょう。

逆に小さい虫歯であれば、あえて虫歯をそのままにして矯正治療をする場合もあります。

虫歯をそのままにする場合は、普段から綺麗に磨けており、また治療が終盤でもうすぐ終わる場合です。

そのため、矯正の治療期間を考えて判断になります。


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矯正治療が終わってから虫歯の治療をした方が確実に綺麗に治せるためですが、判断は先生ごとに変わるでしょう。

矯正治療中は装置がつくため、プラークがつき、汚れが付きやすい環境になるので、注意が必要になります。

そのため、虫歯にならないような工夫が大事になります。

虫歯の予防法を次に説明しますね。

5.矯正治療中の虫歯予防について

矯正治療中に必要な歯ブラシ

矯正治療中に虫歯にならないことは非常に大事です。

虫歯になってしまうと、治療が中断し、矯正期間が長くなってしまうため、いい事ありません。

大事なことが4つあるので順番に説明していきますね。

歯ブラシの方法

歯ブラシ
ワイヤー矯正の場合、装置がつくため、歯ブラシがしにくくなります。

そのため、通常の歯ブラシに加えて歯間ブラシ、ポイントブラシ、デンタルフロスを使用していきます。

画像を見るとイメージがつくと思います。

矯正器具の間に細い歯ブラシを入れている

上図は歯間ブラシになります。

この歯間ブラシをワイヤーの中に入れ、汚れを落としていきます。

あまり強く力を入れると装置が取れてしまう可能性もあります。

軽く力を入れるだけで、汚れは取れますので安心してください。

サイズは、極太サイズが大きさが合いやすく、オススメです。

ワイヤー矯正の間をポイントブラシで磨いている

上図はポイントブラシといって歯ブラシの形が小さくなっています。

通常の歯ブラシの山を一つにしたイメージです。

このポイントブラシをワイヤーの間に入れ、ブラケット間を磨いていきます。

デンタルフロスでワイヤー矯正の間を綺麗に磨いている

上図はデンタルフロスになります。

デンタルフロスは歯と歯の間を綺麗にし、汚れをとります。

先ほどの歯間ブラシやポイントブラシよりも、歯と歯の間を磨くのは得意になります。

ただし、ブラケット間についている汚れは取れませんのでご注意ください。

歯質の強化

フッ素入りの歯磨き粉を使用して歯を強化している
続いて、歯質を強化する方法になります。

みなさん知っている通り、フッ素によって虫歯になりにくい歯になります。

フッ素には2種類あって、家でするタイプと病院でするタイプになります。

家ではフッ素を取る方法としては、歯磨き粉にフッ素が入っているものを使用したり、フッ素入りの洗口剤を使用します。

こちらのフッ素は低濃度になります。

病院でしてもらう場合は高濃度のフッ素になります。

病院でしてもらったら、30分はうがいしないようにしましょう。

うがいするとせっかくつけたフッ素が取れてしまいますからね。

この2つのフッ素を組み合わせることによって虫歯になりにくい歯を作ることができます。

糖分のコントロール

糖分があると喜ぶ虫歯菌
虫歯は糖分があると酸を出し、歯を溶かしていきます。

そのため、酸出させないように、糖分を減らすことによって虫歯にならなくなります。

ジュースやチョコレート、キャラメルなどはイメージつきますが、炭酸やお酢、ワインなどもリスクが高いため注意しましょう。

食べるなとは言いませんが、矯正期間中は控えた方が安心でしょう。

食事の時間

食事

糖分を長時間口の中にある状態は更に良くありません。

そのため、もし糖分を摂取する際は、時間を区切ってパッと食べるようにしましょう。

よくあるのが、ジュースをダラダラ飲んでいると、長時間口の中に糖分がある状態になります。

長時間、糖分があると虫歯菌が酸を出す時間が長くなり、より歯を溶かしやすくなってしまいます。

また、チョコレートやキャラメルなどは歯にまとまりつくため、同じように糖分が口の中に長くいる状態になりやすいです。

甘いものを食べた時は、パッと食べてすぐ歯を磨くようにしましょう。

磨けないときは、せめて水でうがいするようにしてください。

6.虫歯になりにくい矯正装置

虫歯になりにくい矯正装置を提案している先生

矯正装置には何種類かありますが、どれも虫歯のリスクは同じでしょうか?

実はそれぞれリスクが変わってきます。

結論から言うと

表側矯正>裏側矯正>マウスピース矯正

になります。


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裏側矯正は一見すると歯ブラシもしにくく、虫歯になりやすいと思うかもしれません。

実は、裏側の歯のエナメル質は分厚く虫歯になりにくいです。

また、裏側は唾液の循環が良好で、虫歯になりにくい環境になります。

マウスピース矯正は取り外しできるので、歯ブラシが非常にしやすいです。

矯正前とほとんど変わらないため、一番虫歯のリスクが低くなるでしょう。


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まとめ

虫歯と矯正治療は優先順位として基本的に、まずは虫歯治療になります。

矯正前に虫歯があれば、先に虫歯治療をしてから矯正をスタートさせます。

また、矯正治療中に虫歯になってしまったら、基本的には中断して虫歯治療をすることになります。

虫歯にならないようにするためには、矯正治療中は虫歯予防に努めることが大事です。

具体的には歯ブラシを工夫したり、フッ素塗布、糖分を控えるなど工夫する必要があるでしょう。


最後までご覧頂きありがとうございました。


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日本矯正歯科学会認定医 歯学博士


増田 丈浩