ブログ

出っ歯の矯正|原因から治療法が決まります!

2020年1月17日

                    

日本矯正歯科学会認定医 歯学博士

増田 丈浩


出っ歯(上顎前突)の矯正治療

主に上の前歯が前に出ていて、目立っている状態の事を「出っ歯」と呼んでいます。

 

下の前歯との隙間が6mm以上あると当てはまります。

 

学校歯科検診の中にもちゃんと項目としてあります。


『出っ歯が気になる』

『前歯が邪魔で口が閉じにくい』

色々な悩みがあると思うので順に説明していきます。

1.出っ歯はいつから矯正治療したらいいの?



出っ歯の矯正するタイミングは受け口とは違い少し遅くても間に合います。

大体上下の前歯がそれぞれ4本生えた段階からすれば良いかと思います。

また少し遅くても身長が伸びる時期に矯正装置の効果が出れば十分な治療結果を出せます。

子供の時から矯正治療をする最大のメリットは歯を抜く可能性が減ることです。

また骨格的な改善もできるので見た目も良くなります。

2.出っ歯の治療はいつまで?

出っ歯の矯正治療はいつまでするのでしょうか?

治療はⅠ期治療とⅡ期治療に分かれるのですがⅡ期治療に入るタイミングはだいたい第二大臼歯が生えてくるタイミングになります。

また先ほど伝えたようにⅠ期治療の開始時期も少し遅くても大丈夫なため矯正治療期間は短くなりやすいです。

ただし大人の矯正治療と比べるともちろん長いですが。。

Ⅱ期治療はおよそ2年から3年なので中学3年生くらいまでのイメージになります。

 

《関連情報》子供の矯正治療について|疑問にお答えします

3.出っ歯の原因



出っ歯を治療する際に大事なことがあります。

 

それは何故出っ歯になったかです。

 

原因が骨にあるのか、それとも歯にあるのか確かめる必要があります。


出っ歯は骨格が原因の場合と歯が原因の場合の2パターンあります。

 

順番に説明していきます。

 

骨格が原因の出っ歯

上の歯は上顎骨、下の歯は下顎骨という骨にそれぞれ埋まっています。


これらの前後的なバランスが崩れることによって受け口や出っ歯になっていきます。

遺伝的な原因や成長時に起こる悪習癖によって骨格的な問題が起きてきます。

骨格的な問題がある中でもいくつかのパターンがあります。

 

骨格が原因で出っ歯になる場合

上顎骨が前にあるが下顎骨は問題ない

 

上顎骨は問題ないが下顎骨が後ろにある

 

上顎骨が前にあり下顎骨が後ろにある

 

この3つがあるのですが最後の上顎骨が前にあり下顎が後ろにあるが重度の出っ歯になります。

 


歯が原因の出っ歯

上の歯が前に出ているが下の歯は問題ない

 

上の歯は問題ないが下の歯が後ろに下がっている

 

上の歯が前に出ており下の歯が後ろに下がっている

 

この3パターンになりますが最後の「上の歯が前に出ており下の歯が後ろに下がっている」

 

が重度になります。

 

実際には骨格的な問題と歯性的な問題が混ざっていることが多いです。

 

この問題をどのように診断するかというとセファロという横顔のレントゲンを撮影することによって判断することが可能になります。

 

簡単に説明するとこの横顔のレントゲンに基準となる点を打ちます。

 

基準点が3点決まると角度が測定できるためこの角度で判断していきます。

 

この角度の大きさが上顎骨、下顎骨の前後関係や上下の歯の軸の判断材料になるわけです。

 

実はこの角度が非常に大事でこれを考慮して矯正歯科治療をしないと後戻りの原因になってしまいます。


《関連情報》矯正治療後に後戻りした!どうすればいいの?

 

ではこの診断をどのように治療方針に活かすのでしょうか。

 

出っ歯の治療方法は大人と子供で大きく変わってきます。

 
順番に説明していきましょう

 

4.子供の治療方法


骨格的な原因と歯が原因の出っ歯がありますがまずは骨格が

原因の出っ歯から説明していきます。

 

骨格が原因の出っ歯


上顎骨が前にあるが下顎骨は問題ないケース
この場合は上顎骨がこれ以上前にこないような装置を入れる必要があります。

 

ヘッドギアといって上顎骨を後ろに引っ張る装置を使用することにより上顎骨の成長を抑制できます。

 

この装置は取り外しができるタイプで家にいるときに毎日使用することによって効果が出ます。

 


          上図 ヘッドギア 

 

上顎骨は問題ないが下顎骨が後ろにあるケース
この場合は下顎骨が後ろにあるので成長を促進して前方にくるようにできるとベストです。

 

使用する装置はバイオネーターやBJAなどの装置を使用します。

 

この装置も取り外しができるタイプで毎日使用すると効果が出てきます。

また最近はマウスピース矯正(インビザライン)でも下顎を前方に成長させるシステムがあります。


《関連情報》インビザラインで子供の矯正はできる??

                          上図 バイオネーター

上顎骨が前にあり下顎骨が後ろにあるケース
この場合は2つの装置を選択して使用したり場合によっては同時に使用する場合もあります。

 

歯が原因の出っ歯

上の歯が前に出ているが下の歯は問題ないケース
この場合は先ほど説明したヘッドギアという装置を使用します。

 

先ほどとの違いは後ろに引く力の量が変わってきます。

 

上顎骨の成長を抑制したい場合は強い力で引っ張り、歯を動かしたい場合は弱い力で引っ張るようにします。

 

 

上の歯は問題ないが下の歯が後ろに下がっているケース
この場合は下の前歯を前に出していきます。

 

いろいろな方法がありますが子供の場合はリンガルアーチという装置を使用する

場合が多いです。

 下図 リンガルアーチ

 

この装置は主線といって太い針金に細い針金がついておりこの細い針金で歯を前に出していきます。

 

上の歯が前に出ており下の歯が後ろに下がっているケース
この場合はヘッドギアとリンガルアーチを組み合わせて矯正治療をすることになります。

 

子供の時期から矯正治療するメリットは何と言っても抜歯する可能性が減少することになります。

 

また成長を利用するできるため上顎骨と下顎骨のバランスが良くなり、口元や横顔が良好になります。

 

5.大人の治療方法

大人の場合は成長は止まっているため成長を抑制、促進するような骨格的な改善は見込めません。

 

そのため歯を動かして改善していきます。

使用する装置はマウスピース矯正かワイヤー矯正になります。

《関連情報》マウスピース矯正とワイヤー矯正の違いは?


『部分矯正で治療できませんか』と言われることもありますが基本的には難しいです。


《関連情報》部分矯正と全体矯正の違いって知っていますか?

 

出っ歯を治すには上の前歯を後ろに移動させないといけません。

 

そのために隙間を作る必要がありますが

 

抜歯

 

奥歯を後ろに移動させる

 

歯と歯の間をわずかに削る

 

この3つがあります。

 

抜歯

重度の出っ歯の場合は抜歯が必要になります。

 

抜歯する場合は小臼歯を抜くことが多いですが小臼歯の大きさは7mmくらいのため上の前歯を7mm以上下げる場合、抜歯は基本的には必要になります。

 

また抜歯しても治らない場合は手術をして治療する場合もあります。

《関連情報》 矯正治療の抜歯の必要性について

 

奥歯を後ろに移動させる
歯を後ろに移動させる場合は平均して2〜3mm後ろに移動させることができます。

 

後ろに歯を移動させる時には顎間ゴムといって患者さんに取り外しのゴムを自分でつけてもらうようにします。


《関連情報》矯正歯科治療で使用するゴムの疑問は全て解決!


ただしこの場合、奥歯の後ろに骨がないと移動できないためセファロやCTを撮影して確認する必要があります。

 

また親知らずがある場合、抜歯が必要になる場合が多いです。

 

奥歯を後ろに移動させるのはインビザラインが非常に得意ですので中等度の出っ歯はインビザライン を使用すると非抜歯で治ることが多いです。

 

《関連情報》 インビザライン は歯を抜かない非抜歯の治療が得意!

 

歯と歯の間をわずかに削る
出っ歯を治療する際にこれのみで治療することは少ないです。

 

歯の間を削る場合、0.5mmまでは凍みたり虫歯になる可能性は非常に少ないため問題ないと思います。

 

抜歯や奥歯を後ろに移動して治療する際に併用することが多いです。


矯正治療で歯を削るストリッピングのメリットデメリットは?

 

 

どの方法で治療するにしてもセファロ撮影での分析結果は非常に大事です。

 

この分析によって前歯の位置や角度を決めていきます。

 

前歯の位置を決めてから奥歯の位置を固定、後ろに移動、もしくは前に移動させるかを決めていきます。

 

奥歯の位置によって口の中に入れる装置が変わってきます。

 

治療するときは歯の軸を適正な角度に位置付けるような治療方針を組み込みます。

 
骨格的に顎が開いている症例(顔が長い)にはインプラントアンカーというものを使用します。

それによって少しでも顎が閉じる(顔を短くする)方向になるような治療メカニクスを入れていきます。


またこのインプラントアンカーは奥歯が前に移動しないように固定する際にも重要な役割を持ちます。

 

《関連情報》 なぜインプラント矯正は常識をくつがえす治療法なのか?

 

6.大人の症例


今回は抜歯して治療を行った症例をお見せします。

 

正面の写真から見ています。
前歯が出ているのがおわかりだと思います。

 
 

 

上から見た状態ですが上下ともにガタガタがあります。
 

 

上顎の小臼歯を左右合わせて2本抜歯を行い矯正治療を行いました。

 

正面から見た状態ですが出っ歯が治り、キレイに噛んでいます。

 

上から見た図ですがガタガタも治っています。

 

このかたはインプラント矯正をしましたのではずした日の写真のため

穴が空いていますがすぐ治癒していきます。

 

費用 83万円(税別)

 
    

治療期間は2年になります。

まとめ

出っ歯の歯列矯正は子供の場合は原因によって治療方法が異なります。

そのためしっかり診断を行い、原因に基づいた治療をする必要が出てきます。

子供の時に治療する最大のメリットは抜歯する可能性が減る事です。

これは大きなメリットだと思います。

大人の出っ歯の治療は出っ歯の度合いが大きいと抜歯する可能性が高くなってしまうので早期に治療するメリットは大きいです。


最後までご覧頂きありがとうございました。

 

名古屋で矯正治療のお悩みがあれば無料矯正相談も受け付けています。

 

なんでもご相談ください。

 

日本矯正歯科学会認定医 歯学博士

 

増田 丈浩