矯正専門医ブログ

矯正を短期間に早く終わらせる方法とは!?

:2023年12月20日 :2020年5月9日

日本矯正歯科学会認定医 歯学博士
増田 丈浩

矯正の治療期間をイメージする時計やカレンダー


矯正治療の期間を短くすることはできる?

矯正治療をする上で治療期間は皆さん短い方が良いと思います。

では短くする方法はあるのでしょうか?

『そんなことできるの?』

『どうせ期間は長いでしょ』

など色々な声が聞こえてきそうです。

アンケート調査でも早く矯正を終わりたいという声が多いです。

参考論文
日本矯正歯科学会雑誌/矯正歯科治療後における患者および保護者へのアンケート調査

矯正治療を短くする方法を自分でできることと、矯正歯科でできることの2つに分けて説明していきます。

目次

1.通常の矯正治療の期間は?

治療期間をイメージするカレンダー

矯正治療の一般的な治療期間はどれくらいでしょうか?

子供と大人によっても違います。

期間も違うため、する内容も違ってきます。


《関連情報》子供の矯正と大人の矯正の違いは何?|疑問をまとめました


大人の矯正だと2〜3年と言われています。

この治療期間は、ワイヤー矯正でもマウスピース矯正でもあまり変わりません。

そのため、この2〜3年の治療期間をいかに短くするかが大事になってきます。

子供の矯正治療はある程度時間がかかってしまうので、以下を参考にしてください。


《関連情報》矯正治療の期間はどれくらい?


2.矯正歯科で行う4つの期間を短くする方法

期間を短くする方法を提案する先生

まずは矯正歯科で行う期間の短縮させる方法をお伝えします。


インプラント矯正

インプラント矯正で使用するアンカースクリュー
インプラント矯正をすることによって期間は早くなります。

このインプラント矯正で期間が早くなるのは、ワイヤー矯正で抜歯した場合になります。

インビザラインなどのマウスピース矯正でも使用しますが、メインはワイヤー矯正です。

なぜ早くなるのでしょうか?

通常の抜歯をする矯正治療は前歯を中に入れる際、下図のように犬歯を中に入れてから前歯を入れます。

抜歯して前歯を中に入れる際の順番

この理由は前歯と奥歯の引っ張り合いをするので、少しでも奥歯が前に来ないようにするためです。

インプラント矯正を使用すると奥歯が前に来ないため、下図のように前歯6本を同時に移動できます。

抜歯した隙間に前歯6本をまとめて中に入れている

これによって治療期間が大体6〜8ヶ月ほど短くすることができるのです。


《関連情報》インプラント矯正|目的と疑問をまとめました!

オーソパルス

オーソパルス
このオーソパルスという装置は、マウスピース矯正(インビザライン)に使用するものになります。

インビザラインはアライナーというマウスピースを、7日から10日に1回交換して歯を動かしていきます。

1枚のアライナーで歯が0.25mm動きます。

このオーソパルスという装置を使用すると、3日に1回のアライナーの交換になります。

これによって、矯正の治療期間をかなり短くすることが可能になりました。

3年かかる症例でも、1年半ほどの期間が早く終えることができるのです。

このオーソパルスは、1日10分(上5分、下5分)の使用になりますので負担も少ないです。

費用はかかりますので、矯正歯科ごとに違いますから確認しましょう。

セルフライゲーションブラケット

セルフライゲーションブラケット
セルフライゲーションブラケットとはなんでしょうか?

これはワイヤー矯正で使用するブラケットの種類になります。

そのため、マウスピース矯正には関係ありません。

このセルフライゲーションブラケットを使用すると、通常のブラケットと違い、摩擦がかなり少ない仕組みになっています。

この摩擦がないことによって、歯が早く動く仕組みになっています。

おおよそ2〜3割ほど、治療期間が早くなると言われています。

先ほどのインプラント矯正と、組み合わせることも可能です。

コルチコトミー

コルチコトミーをする場所が点線でかいてある模型

コルチコトミーという方法でも、治療期間は早まります。

関連論文
北海道矯正歯科学会雑誌/Corticotomyを併用した矯正治療につ いて

コルチコトミーは、マウスピース矯正でもワイヤー矯正でもどちらでも可能になります。

このコルチコトミーという方法は、外科処置を伴う処置になります。

骨にわずかに切り込みを入れる方法です。

骨に切れ込みを入れると骨の治癒力が高まり、結果として骨の代謝が早まります。

ただしこの効果はずっと続くものではなく一定期間になるでしょう。

そのため入れるタイミングや症例も大事になります。


外科手術の時間は1〜2時間くらいが目安になります。

3.自分の行動によって矯正期間を短くする方法

矯正の治療期間を短くする方法を提案している先生

先ほどは付属装置や外科手術による方法をご紹介しました。

今度は自分自身の行いによって期間が早まる方法を提示します。

虫歯、歯周病を作らない

虫歯や歯周病菌
虫歯や歯周病が治療中にできてしまうとどうなるでしょう。

治療が中断してしまいますよね。

虫歯の治すタイミングや矯正中の虫歯予防方法などは下記をご参考ください。


《関連情報》矯正と虫歯の関係|いつ虫歯を治すかなど疑問を全てまとめました!


その中断した分だけ、矯正治療の期間が長くなってしまいます。

なので歯ブラシをしっかり行い、虫歯や歯周病を作らないようにしましょう。


《関連情報》矯正治療でおきる歯茎のトラブルは??対策があれば怖くない!

舌癖や体癖などの悪い癖を治す


指しゃぶりという悪い癖をしている子供
舌癖というのは嚥下をする際に、舌で前歯を押してしまったり、舌の位置が悪い状態を言います。


悪い癖があると歯が動いてしまうため、舌のトレーニングをして治す必要がありますので、指示を仰ぎましょう。

また、頬杖なども悪影響を及ぼすので、しないようにしましょう。

体の代謝を高くする


体の代謝が高く元気なイメージ
歯が動く仕組みとして、歯の周りの組織の代謝によって歯が動きます。

体の代謝が高ければ、自然と歯の周りの代謝も高まる可能性が高くなります。


規則正しい生活や、睡眠時間にも気を付け、体の新陳代謝を高めましょう。

そのため、喫煙をすることによって血流が悪くなるため、代謝が下がってしまいます。

そうすると、歯が動くスピードが遅くなる可能性もあるので注意しましょう。

予約をキャンセルしない


キャンセルをしてはいけないと伝える女性予約をキャンセルすると、矯正の治療が先延ばしになってしまいます。

矯正治療の間隔は1ヶ月ほど必要ですが、不必要に長くなってしまうと歯が動かず、無駄な時間になってしまいます。

そのため、予約した日にちにキャンセルすることなく、治療を受けるようにしましょう。

 

ゴムの使用時間を守る


ゴムを使用している
治療中に、先生からゴムを使用するように言われることがあります。

このゴムをサボってしまうと、歯が動かず、結果として期間が長くなってしまいます。

そのため、必ず使用するようにしましょう。


《関連情報》歯列矯正で使用するゴムってどんなもの?

 

インビザラインの使用時間を守る


インビザラインの使用時間を守るイメージの砂時計
インビザラインなどマウスピース矯正は、アライナーという装置を使用します。

この装置は装着時間が決まっており、20時間以上は使用しないといけません。

この時間を守れないと歯が動かず、治療が進みません。

また装着時間が短いため、アライナーの適合が悪いのに関わらず、先へ進んでしまうとさらに時間がかかってしまいます。

マウスピース矯正っていうインビザラインはいまいち信じられない、という人も実際多いです。

そのような方は、インビザラインの効果についてまとめてあるので下記をご参考ください。


《関連情報》インビザラインは効果がある?ない?|疑問に答えます!

 

食事を注意する


食事

ワイヤー矯正の場合、ブラケットという装置がついています。

この装置が取れてしまうと歯がうまく動きません。

食事中、硬い物ばかり噛んでいると、装置に当たって取れてしまうことがあります。

そのため食べるものに気を使ったり、食べ方を注意すると良いでしょう。

装置が取れたらすぐ連絡する


装置が取れたらすぐ連絡するように言っている先生

インビザラインならアタッチメント、ワイヤーならブラケットが歯についています。

この装置が取れてしまうと歯が動かないため、取れた場合はすぐ矯正歯科に連絡をし、つけてもらいましょう。

インビザラインのアタッチメントは以下を参考にしてください。


《関連情報》インビザラインのアタッチメントって目立つ?痛い?

 

まとめ

矯正治療の期間を短くする方法は大きく分けて2つあります。

矯正歯科で行う方法と自分の行動によって行う方法になります。

どちらも組み合わせてできますので、ぜひ実行してみてください。

矯正治療が長引くよりは短い方が絶対良いので、参考になればと思います。


最後までご覧頂きありがとうございました。

 


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日本矯正歯科学会認定医 歯学博士


増田 丈浩