矯正専門医ブログ

矯正治療は保険適用になるの?

最終更新日:
2020年7月9日

日本矯正歯科学会認定医 歯学博士
増田 丈浩


矯正治療は保険適用できる場合もあります
矯正治療は基本的に自費治療になります。

ここで基本的にと書いたのは例外もあるからです。

症例によっては保険がきくこともあります。

『保険治療なら矯正したい』

『子供の矯正は保険がきくの?』

色々な疑問をよく聞きます。

矯正治療の保険に関する疑問を順番にお答えして行きます。

1.なぜ矯正治療は保険外なのか?



どうして矯正治療は保険適用でないのでしょうか?

まず保険適用になるためには、病名が必要になります。

つまり病気でないと保険適用になりません。

病気を治す行為のみ適用になるのです。

確かに歯並びが悪いと汚れもたまり、虫歯や歯周病のリスクは高まります。

ですが歯並びをキレイにしたら、虫歯や歯周病が治るかというとそうではありません。

厚生労働省が、矯正治療を保険適用に認めていない理由はそういうことです。

通常の矯正であれば60万から80万ほどかかってしまいます。

インビザラインであれば80万〜110万円ほど、かかると思われます。


インビザラインにかかる費用については下記をご参考ください。


《関連情報》インビザラインの費用はどれくらい?|正しい値段を知りましょう

 

2.矯正治療で保険適用できる疾患



では今度は保険適用できる疾患をお話しします。

保険適用できる疾患は

咬合異常に対する矯正歯科治療、ならびに顎の外科手術を要する顎変形症などの手術前、手術後の矯正歯科治療

前歯3歯以上の永久歯萌出不全に起因した咬合異常(埋伏歯開窓術を必要とする)

所定の症候群に起因した咬合異常に対する矯正歯科治療

になります。

【参考サイト】
公益社団法人日本矯正歯科学会


少し難しいですね。

順に説明します。


顎変形症

顎変形症とは簡単にいうと著しい出っ歯、著しい受け口、顎の歪みによって噛み合わせに異常が起きている状態です。

この状態だとうまく噛めないなど色々な症状があるため、病気として診断がつくので保険適用になります。

ただし手術を併用しないと保険適用にならないため、重度の症例になります。

なので噛み合わせに異常があるからといって、誰でも保険適用になるわけではありませんのでご注意ください。

顎変形症は子供の時は顎の成長もあるのでできません。

そのため子供の場合は受け口や出っ歯があっても、自費治療となります。

骨格の成長が終わってからでないと手術もできないため、成人が対象になります。

前歯3本がいつまでも萌出してこない

いつまでたっても前歯が萌出してこない場合も、保険適用になります。

この場合歯が自然に生えてこないため、埋伏歯開窓術をしないと保険適用にはなりません。

埋伏歯開窓術とは、歯茎を切って歯にボタンをつける手術になります。

このボタンにゴムをつけて引っ張って萌出させます。

症候群

様々な症候群があります。

ほとんどが子供が生まれた時にわかる事が多いです。

特に子供で多いのが唇顎口蓋裂になります。

こちらは400〜600人に1人の割合で、生まれてくると言われています。

これらの症候群はほとんど小さい子供の頃から、歯科にかかる事が多いので説明は割愛します。

念のため列挙しますが関係なければ飛ばしてください。

  1. 唇顎口蓋裂
  2. ゴールデンハー症候群(鰓弓異常症を含む。)
  3. 鎖骨頭蓋骨異形成
  4. トリーチャ・コリンズ症候群
  5. ピエール・ロバン症候群
  6. ダウン症候群
  7. ラッセル・シルバー症候群
  8. ターナー症候群
  9. ベックウィズ・ウイーデマン症候群
  10. 顔面半側萎縮症
  11. 先天性ミオパチー
  12. 筋ジストロフィー
  13. 脊髄性筋委縮症
  14. 顔面半側肥大症
  15. エリス・ヴァンクレベルド症候群
  16. 軟骨形成不全症
  17. 外胚葉異形成症
  18. 神経線維腫症
  19. 基底細胞母斑症候群
  20. ヌーナン症候群
  21. マルファン症候群
  22. プラダー・ウィリー症候群
  23. 顔面裂
  24. 大理石骨病
  25. 色素失調症
  26. 口腔・顔面・指趾症候群
  27. メビウス症候群
  28. 歌舞伎症候群
  29. クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群
  30. ウイリアムズ症候群
  31. ビンダー症候群
  32. スティックラー症候群
  33. 小舌症
  34. 頭蓋骨癒合症(クルーゾン症候群、尖頭合指症を含む。)
  35. 骨形成不全症
  36. フリーマン・シェルドン症候群
  37. ルビンスタイン・ティビ症候群
  38. 染色体欠失症候群
  39. ラーセン症候群
  40. 濃化異骨症
  41. 6歯以上の先天性部分(性)無歯症
  42. CHARGE症候群
  43. マーシャル症候群
  44. 成長ホルモン分泌不全性低身長症
  45. ポリエックス症候群
  46. リング18 症候群
  47. リンパ管腫
  48. 全前脳胞症
  49. クラインフェルター症候群
  50. 偽性低アルドステロン症
  51. ソトス症候群
  52. グリコサミノグリカン代謝障害(ムコ多糖症)
  53. その他顎・口腔の先天異常

    顎・口腔の奇形、変形を伴う先天性疾患であり、当該疾患に起因する咬合異常について、歯科矯正の必要性が認められる場合に、その都度当局に内議の上、歯科矯正の対象とすることができる。

    ※当局とは、所轄の厚生(支)局です。


6歯以上先天的に欠損している

先ほど症候群を列挙しましたが、この中で気づかずにいる症例があります。

それは6本以上永久歯がもともと無い人です。

ただし親知らずは除きます。

この場合は保険適用になります。

6本欠損かどうかはレントゲンで確認します。

口の中で6本なくてもレントゲンで骨の中にある状態では、適用になりませんので注意しましょう。

3.顎関節症があれば保険でできる?



たまに聞かれるのですが『顎関節症があるので矯正治療は保険適用になりますか』と言われます。

残念ですがこちらは保険適用にはなりません。

ただしスプリント治療といって口の中に、マウスピースを入れる治療は保険適用になります。

そのため口が開かない、顎が痛い場合はスプリント治療であれば保険適用になります。


《関連情報》矯正治療で顎関節症になることもあるの?

4.子供の矯正治療は保険適用になる?

こちらもたまに質問されます。

『子供の矯正治療は保険でできますか?』と質問を受けますが、こちらも残念ながらできません。

矯正治療は厚生労働省から、見た目の治療と考えられているからです。

先ほどお伝えした症候群や前歯が、3本以上萌出していない場合のみ保険適用になります。

ただし子供の矯正はメリットが大きいため、保険適応できなくても検討しても良いと思います。


《関連情報》子供の矯正治療について|疑問にお答えします

 

子供の時の矯正は大人の矯正と違い、使う装置が変わってきます。

診断によって様々な装置があるので下記をご参考ください。


《関連情報》子供の矯正|装置の種類は大きく分けて3種類あります!


保険治療で矯正する場合や、慈悲治療で矯正する場合でも選ぶ矯正歯科は非常に大事です。

どこでしても同じと思わないようにしましょう。

少しでも失敗しないように慎重に選ぶべきです。


《関連情報》子供の矯正で失敗しないためには|後悔しない選び方

 

5.保険治療でする場合はいくら費用がかかるの?



矯正治療が保険適用になった場合、費用はどれくらいかかるのでしょうか?

大人の場合ですと矯正治療費は期間によっても変わるので、一概には言えませんが30万円〜になります。

また手術費用は約20万円〜ですが手術の種類によって、大きく変わるので病院に確認しましょう。

入院費用などもありますから忘れないようにしてください。

自費治療でする場合、100万円ほどかかる場合が多いのでそれよりは、低価格で治療を受けれることになります。

通常の矯正治療で安くする方法もありますので参考にしてください。


《関連情報》矯正の費用を安くする方法を知ってますか?

6.確定申告で診断書を提出すれば医療費控除は受けられる?



保険治療で矯正治療をする場合でも、医療費控除は受けれます。

ただし医療費控除は年に10万円以上の医療費からになっていますのでご注意ください。

どういうことかというと

その年にかかった医療費ー10万円=医療費控除額

所得税や住民税で還付されますが、還付される金額は所得によって変わってきます。

還付金額=医療費控除額×所得税率

になります。

手術する年は高額になりますから、その年は問題なく控除を受けれると思います。

その際に確定申告で診断書が必要なので、矯正歯科でもらうようにしましょう。

一度きりではなく毎年のことなので忘れずに行いましょう。

他の医療費とも合算できるので、医科などの領収書があれば捨てずに取っておく必要があります。


《関連情報》矯正治療は医療費控除をしないと損します!

6.保険証は必要なの?

保険治療で矯正治療をするため保険証は必要になります。

そのため毎月保険証を提示するようにしましょう。

もし忘れてしまった場合はファックスで送って対応できるか、矯正歯科に確認すると良いでしょう。

まとめ

矯正治療をするためにはある一定の条件が必要になります。

子供の場合は様々な症候群があるので、自分の子供がそうか確認してください。

おそらく生まれた時にわかる事が多いので、病院から教えてもらえる思います。

大人の場合は顎変形症か6歯以上の永久歯欠損になります。

ただし顎変形症であっても手術をしたくない場合は、保険適用にならないので注意してください。


最後までご覧頂きありがとうございました。


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日本矯正歯科学会認定医 歯学博士


増田 丈浩