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部分矯正と全体矯正の違い

最終更新日:
2020年7月9日

日本矯正歯科学会認定医 歯学博士
増田 丈浩


部分矯正と全体矯正の違いって知っていますか?
皆さんできれば部分的に矯正を終わらせたい人が多いと思います。

『なるべく費用を抑えたい』

『部分的の方が期間も短いでしょ』

色々な意見があります。

部分矯正と全体矯正では一体何が違うのでしょうか?

順番にお話ししていきます。

1.部分矯正とは



まず、部分矯正とはなんなのでしょうか?

言葉の通り部分的に歯並びを治すことを意味します。

部分矯正はM T M(マイナー トゥース ムーブメント)ともいわれ、数本の歯のみに限局して治療を行います。

前歯で顔の印象が違ってしまうため、前歯のガタガタ を気にされて前歯だけ治したいひとは多いです。

そのため、見た目のみを治す矯正治療と考えればいいでしょう。

一方、全体矯正とは全ての歯を動かして矯正治療を行っていきます。

本人では気づけない、噛み合わせの部分も治療していきます。

2.装置の違いは?



では使用する装置に違いはあるのでしょうか?

全体矯正では、ワイヤー矯正でもマウスピース矯正(インビザライン)でも治療が可能になります。

イメージはつきますよね。

マウスピース矯正はいまいち信じられない、という人も実際多いです。

そのような方はマウスピース矯正の効果についてまとめてあるので下記をご参考ください。


《関連情報》インビザラインは効果がある?ない?|疑問に答えます!


部分矯正ではどうなのでしょうか?

実は部分矯正でも、ワイヤー矯正、マウスピース矯正が可能になります。

ワイヤー矯正であれば、歯並びが気になる部分にブラケットといわれる装置をつけて、ワイヤーを通し治療を行っていきます。

では、マウスピース矯正も部分的かというと実は違います。

マウスピース矯正の場合は、全体矯正と同じく全ての歯を覆って、矯正治療を行います。

その上で、動かしたい歯のみに力をかけて歯並びを部分的に治していきます。


《関連情報》マウスピース矯正とワイヤー矯正の違いは?

 

審美性を考えて、裏側矯正とマウスピース矯正で迷われる方も多いです。

下記を参考にしてください。


《関連情報》マウスピース矯正と裏側矯正の違い|どっちを選べばいい?

3.費用



費用は部分矯正の方がやはり安いです。

どのくらい変わるかというと、医院によってもちろん変わってしまうので『この金額です』とお伝えすることはできません。

ただし目安はあります。

全体矯正の費用は装置によって費用は変わります。

ワイヤー矯正であれば60万〜80万円ほどが相場でしょうか。

インビザラインにかかる費用についてはもう少し高くなります。

下記をご参考ください。


《関連情報》インビザラインの費用はどれくらい?|正しい値段を知りましょう


部分矯正は基本的に6個のブロックに分けています。

右上の奥歯 上の前歯 左上の奥歯
右下の奥歯 下の前歯 左下の奥歯

このようなイメージです。

そのため、もし上の前歯のみに装置をつけるのであれば、全体矯正の費用の1/6が目安となります。

もちろん、矯正歯科によって判断は変わるとは思いますが、目安にはなると思います。

ただし、マウスピース矯正(インビザライン)で部分矯正をする場合は少し違ってきます。

マウスピース矯正で部分矯正をする場合、マウスピースを作成するのにどうしてもコストがかかってしまいます。

そのため、通常の部分矯正よりは費用が高くなります。

インビザラインライトと表記されているのが、部分矯正やガタガタが少ない症例に対応したものになりますので、費用欄に書いてあるか確認しましょう。

4.部分矯正は保険適用になるの?



部分矯正は残念ながら保険適用にはなりません。

ただし、全体矯正で保険適用になるケースもあります。

そのため、自分が保険適用になるか確認して見てもいいかもしれません。

基本的には、ほとんどのケースは自費治療になります。


《関連情報》矯正治療は保険適用になるの?

5.医療費控除は受けれるの?

部分矯正も全体矯正も、医療費控除は受けれます。

ただし、10万円以上になります。

他の医療費も合算できるので、もし医科、歯科受診があれば合わせて控除が可能です。

そのため、領収書は必要になりますので、捨てずに取っておきましょう。

医療費控除を受けることによって、還付を受けれるため、結果的に費用が安くなります。


《関連情報》矯正治療は医療費控除をしないと損します!

 

6.治療期間



矯正の治療期間は、全体矯正だと平均して2年から3年かかりますので長期になります。


《関連情報》矯正治療の期間はどれくらい?


部分矯正であれば、症例にもよりますが半年以内に終わることがほとんどです。

部分矯正で1年以上かかる症例は、全体矯正でするべき矯正でしょう。

ただし、どちらも保定といって歯の後戻りを防ぐ装置を入れる必要があります。


《関連情報》矯正治療後の保定装置(リテーナー)の悩みが全てわかる!


この保定期間は、一般的には治療した期間が保定期間といわれていますが、部分矯正の場合は治療期間が短いのです。

そのため、あまり短い保定期間だと後戻りしてしまう可能性があるため、少し長めにした方が良いでしょう。

 

《関連情報》歯並びは後戻りするの?後戻りしたらどうすればいいの?


矯正の治療期間を短くする方法もあるので、興味ある人は下記を参照してください。


《関連情報》矯正治療の期間はどれくらい?

 

7.痛みについて



痛みは部分矯正全体矯正ともにあります。

どうしても歯を動かすと違和感や痛みは出てしまいます。

ただし、動かす範囲が違ってきますので全体矯正では全体的に痛いです。

そのため、部分矯正の方が痛みも部分的になるため、少ない可能性はあります。

また器具がつきますので、頬や舌、唇に当たって痛いこともあります。

マウスピース矯正でする場合は、器具が当たって痛いということはほとんどありません。


《関連情報》歯列矯正って痛いの?痛みは対処できれば怖くない!

また、部分矯正は早く終わりますので、虫歯や歯周病の観点から見るとリスクは減ります。

装置が長くつくと汚れが溜まりやすいので、歯茎の腫れや痛みは起きにくいです。


《関連情報》矯正治療でおきる歯茎のトラブルは??対策があれば怖くない!

8.噛み合わせ



部分矯正は見た目だけの矯正歯科治療になります。

そのため、噛み合わせを良くすることはできません。

また、部分的に歯を動かすため噛み合わせが変わってしまい、かえって悪くなる可能性もあります。

その辺りをしっかり診断できる良い先生に見てもらいましょう。


《関連情報》良い矯正歯科の選び方|歯科医師が見る8つのポイント


見た目だけキレイになって、噛み合わせが悪くなってしまっては将来必ず後悔します。

では、どのような症例なら部分矯正でもいいのでしょうか。

次の章でお話しします。

9.症例選び

まずは奥歯の噛み合わせが非常に大事になります。

何を見るのでしょうか?

図で示します。


上顎第一大臼歯の手前の山と下顎第一大臼歯の溝が、ちょうど噛み合っていると奥歯の噛み合わせが正しくなります。(上図)

上顎第一大臼歯の手前の山と下顎第一大臼歯の溝がずれることによって、出っ歯や受け口になってきます。

他にもたくさん判断基準はあるのですが、ここが一番大事になります。

そのため、奥歯の噛み合わせが正しければ、部分矯正で治療しても大丈夫な可能性が高まります。

逆に、奥歯の噛み合わせの位置がずれているのであれば、全体矯正で治療した方がいいでしょう。

噛み合わせが崩れると、顎関節症になる可能性もあるため慎重な判断が必要になります。


《関連情報》矯正治療で顎関節症になることもあるの?

 

10.治療方法



部分矯正でする場合、隙間を作る方法は2つあります。

ただし、理想は奥歯の噛み合わせが正しい場合です。

前歯を前に出す
口元の突出が気にならない場合は、前歯を前に出して治療を行います。

前歯が前に出る分口元が前に出ます。

口元が前に出る分、Eラインは悪くなります。

それによって、横顔を見ると唇が少し突出してくることもあります。


《関連情報》矯正でEラインや唇が変化するって本当?


歯と歯の間をわずかに削る
ガタガタがある場合、そのまま並べると前歯が前に出てしまいます。

そのため、歯と歯の間をわずかに削ってスペースを獲得します。

そのスペースを利用して、ガタガタをキレイに並べていきます。


《関連情報》矯正治療で歯を削るストリッピングのメリットデメリットは?


ガタガタが強かったり出っ歯の度合いが強い場合は、全体矯正の適応になります。

全体矯正の場合、ワイヤー矯正でもインビザラインでもどちらでも対応可能です。


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その場合は、抜歯が必要な場合もあるので正確な診断が大事です。

もちろん、どの症例も抜歯して治すのは絶対に良くないです。

ただし、抜歯の適応なのに非抜歯で治療すると安定しないため、その場合のみ抜歯を行います。


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まとめ

部分矯正と全体矯正の違いは分かりましたでしょうか?

最後に表で簡単にまとめておきます。

  全体矯正 部分矯正
費用 高い 安い
医療費控除 還付可能 還付可能
期間 2〜3年 半年ほど
痛み 多少あり 多少あり
噛み合わせ
抜歯 抜歯可能 抜歯はできない
見た目 △〜◯
装置の種類 マウスピースも可能 マウスピースも可能


部分矯正をする場合は特徴やデメリットも理解した上で行いましょう。


最後までご覧頂きありがとうございました。


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日本矯正歯科学会認定医 歯学博士


増田 丈浩