日本矯正歯科学会認定医 歯学博士
増田 丈浩
矯正治療とホワイトニング
矯正治療をしたいけどホワイトニングもしたいという人は意外にいらっしゃいます。
やはり矯正治療をする人は歯に対して意識が高い人が多いのでホワイトニングも希望される人は多いです。
「同時にできるの?」
「順番はある?」
など色々な疑問がある人が多いです。
順番にお答えしていこうかと思います。
目次
1.矯正治療とホワイトニングは同時にできる?
矯正治療とホワイトニングは同時にできるのでしょうか?
これらは使用する矯正装置によって変わってきます。
どういうことでしょうか?
つまり、ホワイトニングをするためにはマウスピースを作製します。
表側矯正や裏側矯正などのワイヤー矯正の場合、マウスピースを入れる事ができないため、同時にはできません。
ただし、舌側矯正の場合なオフィスホワイトニングと言って病院でするタイプであれば可能になります。
関連論文
日本舌側矯正学術会会誌/舌側矯正とホワイトニング
マウスピース矯正(インビザライン)であれば、ホワイトニングも同時に実はできます。
どういうことかというと、マウスピース矯正で使用するアライナーを、ホワイトニングするためのマウスピースとして使用するのです。
インビザラインのアライナーの中に、ホームホワイトニングで使用する薬液を入れることによって、歯が白くなります。
参考論文
クリアアライナーに併用したホームホワイトニン グにおける患者満足度の向上について
今説明した、薬液をマウスピースの中に入れてホワイトニングをするタイプを、ホームホワイトニングと言います。
病院でするオフィスホワイトニングというものもありますが、こちらもマウスピース矯正であれば可能になります。
2.マウスピース矯正(インビザライン)でホワイトニングする際の注意点
マウスピース矯正でホワイトニングする際、注意事項はあるのでしょうか?
マウスピース矯正をする際、症例によりますがガタガタが強い人がいらっしゃいます。
ガタガタが強い人だと、歯が捻れています。
それによって、ホワイトニングの薬液が歯の細部まで届かず、色が白くなりにくい場合があります。
そのため、使用するなら、ある程度ガタガタが取れてからがいいです。
またインビザラインの場合、歯にアタッチメントといって、歯の色をした突起物がつきます。
《関連情報》インビザラインのアタッチメントって目立つ?痛い?
このアタッチメントがついた状態でホワイトニングすると、どうなるのでしょうか?
アタッチメントの周りから薬液が浸透しますので、ある程度は白くなってきます。
上図のようにアタッチメントの周りから薬液が浸透するため、アタッチメントを外してもある程度白くなっています。
ただし、アタッチメントの大きさは色々あります。
奥歯によく装着する、長方形アタッチメントというのが一番大きさが大きいです。
アタッチメントの大きさが大きいと、その分浸透する距離が長くなるため、色が周りと少し変わってくる可能性はあります。
ただし長方形アタッチメントは前歯にはあまり使用せず、前歯で使用するアタッチメントはもっと小さくなります。
しかし、アタッチメントを外した際、色がわずかに周りと違う可能性はありますので、それを承知の上で行いましょう。
この色が違う可能性はホームホワイトニングでもオフィスホワイトニングでも同じです。
虫歯がある場合は、ホワイトニングすると色が変わってしまうため、少し現在より白い詰め物を選ぶ方が良いでしょう。
ただし、色は合いにくいので矯正治療が終わった後、色があってない場合は再度詰め物をやり直した方がより綺麗になります。
虫歯の治すタイミングや矯正中の予防方法などは下記をご参考ください。
《関連情報》矯正と虫歯の関係|いつ虫歯を治すかなど疑問を全てまとめました!
3.ワイヤー矯正のホワイトニングの順番は?どっちが先?
表側矯正や裏側矯正などのワイヤー矯正の場合、ホワイトニングは先ほど同時にはできないと説明しました。
ではワイヤー矯正の治療前、治療後はどうでしょうか?
矯正前、矯正後、どちらでもホワイトニングはできますが、基本的には矯正治療後にします。
この理由として、治療前にホワイトニングをしても治療中に着色がついてしまい、元に戻ってしまいます。
せっかく白くなったのに、治療途中に戻ってしまっては意味がありません。
また、歯並びが良くなると歯の色も変わります。
厳密にいうと歯の色は変わらないのですが、ガタガタがあり、後ろにある歯は光の加減で暗く見えます。
矯正治療できれいに並んでくると、後ろの歯が前に来ますので光が当たるようになり、色が白く見えてきます。
もし、主訴が「後ろの歯が暗い」であればホワイトニングをしなくても良い場合があります。
そのため、矯正前ではなく、矯正治療が終わってキレイになってから、再度考えるべきでしょう。
3.矯正後、保定期間中のホワイトニングについて
矯正が終わると保定といって、後戻りが起きないようにリテーナーという保定装置を使用します。
《関連情報》矯正治療後の保定装置(リテーナー)の悩みが全てわかる!
このリテーナーという保定装置でも、ホワイトニングが可能です。
ただし、マウスピース型の保定装置に限ります。
リテーナーには上図のような保定装置もありますがこのタイプは使用できません。
ただし、上記のようなリテーナーでも、ホワイトニング用のマウスピースを作れば、ホワイトニングは可能になります。
4.矯正中にホワイトニング用の歯磨き粉は使用していい?
ホワイトニング用の歯磨き粉は市販で色々と種類が出ています。
これらは矯正中に使用して良いのでしょうか?
まずこの質問に答える前にこのホワイトニング用の歯磨き粉の成分についてお話しします。
ホワイトニングを謳っている歯磨き粉の成分には、研磨剤が含まれています。
この研磨剤によってわずかに歯を削り、キレイにしているのです。
そのため、インビザラインにはアタッチメントという突起物がつくのですが、このアタッチメントを削ってしまうので使用しない方が良いです。
アタッチメントがあることによって適切に歯が移動できますので、削れてしまうと、うまく歯が動きません。
ワイヤー矯正の場合はあまり関係ないため使用しても良いかと思います。
ただし、ブラケットがセラミックであれば大丈夫ですが、プラスチック製の場合、削れる可能性があるため、使用する場合は注意しましょう。
5.矯正中のホワイトニング費用について
矯正中にホワイトニングできるのはマウスピース矯正とお話ししました。
費用についてですが、矯正の費用の中にホワイトニングの費用は基本的には含まれず、別々に発生します。
また、自費治療のため、医院ごとに費用は変わります。
ただし、目安としてマウスピース矯正は100万前後、ホワイトニングは2〜3万円になります。
費用を少しでも安くしたい場合は、こちらを参考にしてください。
《関連情報》矯正の費用を安くする方法を知ってますか?
まとめ
矯正治療中にホワイトニングする場合、ワイヤー矯正はできません。
しかしマウスピース矯正であれば、使用しているマウスピースの中に薬液を入れれば可能になります。
ただし、インビザラインのアタッチメントがついている場合、若干色が変わる可能性はありますので注意が必要です。
最後までご覧頂きありがとうございました。