ブログ

矯正治療で歯を削るストリッピングのメリットデメリットは?

2020年1月23日

日本矯正歯科学会認定医 歯学博士
増田 丈浩



矯正治療で歯を削るのは嫌ですか
ストリッピングとは歯の間をわずかに削る方法です。

みなさん誰でも歯を削るのは嫌ですよね。

「痛いから嫌だ」

「虫歯になりやすそう」

色々な声が聞こえてきそうです。

ストリッピングはIPR、ディスキングとも言いますが意味は同じになります。

1.隙間を作る5つの方法


まず矯正で治療する際にどのように隙間を作る方法があるでしょうか。

前に歯を移動する

後ろに歯を移動する

横に歯を広げる

歯を抜く

ストリッピング

この5つがあります。

前に歯を移動する
前に歯を移動するのは前歯が通常より中に入っている場合に限ります。

あまり前に出すと口元が突出して悪くなりますし歯の軸も悪くなります。

そのため前に出す症例は限られます。


後ろに歯を移動する
後ろに歯を移動する場合レントゲンで骨が後ろにある場合は可能です。

セファロやCTを撮影して骨の状態を確認します。

平均して2〜3mmほど後ろに移動できます。

歯を後ろに移動させるのはインビザライン が非常に得意です。

《関連情報》なぜインビザラインは歯を抜かない非抜歯の治療が得意なのか!?


横に歯を広げる
歯を側方に拡大する場合も骨の状態を見てからになります。

こちらも平均して2〜3mmほどになります。

骨がない場合は全くできません。

もし無理に拡大すると骨から歯が飛び出すため歯茎が下がったりそれにより歯が凍みることもあります。


歯を抜く

ガタガタが強い場合は歯を抜くことがあります。

よく抜く歯は第一小臼歯という歯になります。

およそ大きさは7mmなので両方抜歯すると14mm隙間が獲得できます。

   《関連情報》矯正歯科治療に抜歯は必要なの!?

ストリッピング
歯と歯の間をわずかに削ります。

削る量としては歯の片面を0.2〜0.3mmほどになります。


2.ストリッピングの方法


ストリッピングの方法は3種類あります。

ヤスリ

細いヤスリを歯の間に入れて削ってきます。

こちらは手動とエンジンを使う方法があります。

ヤスリの太さで歯を削る量を決めていきます。

 
バー

虫歯を削るバーよりかなり細いバーをエンジンにつけて削っていきます。

バーの太さで削る量を調整します。

慣れると非常に早くできます。



ディスク

丸いディスクを歯の間に入れて隙間を削ります。

少し大きいので他の歯に当たらないよう気をつける必要があります。

しかし最近は保護カバーがあるため比較的安全に行えます。


どの方法でも問題ありませんが正確に削る量を調整する必要があります。

削り終わった後は削った表面を綺麗に研磨します。

その後フッ素を塗って歯質を強化していきます。


3.メリット


ではどのようなメリットがあるのでしょうか。

まずは隙間を作ることができることです。

ではどのくらいの量隙間を作ることができるのでしょう。

もし仮に歯の片側を0.2mm削るとします。

前歯から奥歯の12箇所削るとすると全部で5mmの隙間が作れます。

片側0.3mmであれば7mmの隙間が獲得できます。

7mmであれば小臼歯1本分の隙間が獲得できることになります。

このストリッピングの隙間と先ほど説明した隙間を作る方法を組み合わせます。

そうすると抜歯しなくても良い症例も出てきます。



もう一つのメリットとしてブラックトライアングルをなくすことができます。

ブラックトライアングルとは歯と歯の間の黒い隙間です。

歯周病が進行していると前歯に起きることがあります。

これをストリッピングすることによって解消するのです。

下の図は大臼歯になりますが歯と歯の間が空いています。

ストリッピングをして歯と歯の隙間を作り歯を動かします。


お分かりでしょうか?

先ほどより隙間の量が減っています。

骨の骨頂から歯と歯の接触点の距離が5mm以内であればブラックトライアングルは起きないと言われています。

そのためストリッピングを行うことによって隙間が減るので汚れが溜まりにくくもなります。

結果として虫歯や歯周病のリスクも減ります。

またストリッピングをすることによって適正な歯の軸に治療ができるようになるのであれば後戻りも減ります。

どうしても無理に並べると前歯が前に倒れてしまい予後が悪くなってしまいます。

    《関連情報》矯正治療後に後戻りした!どうすればいいの?




4.デメリット



それではデメリットは何でしょうか。

やはり一番のデメリとは歯を削ることになります。

では歯を削るとどのようなことが起きるでしょう。

歯が凍みる

虫歯になりやすくなる

この2つが考えられると思います。

しかしZachrissonやZhengらは歯を削る量をしっかりコントロールできればこれらの症状はほとんど起きないと報告しています。

そのため削る歯科医師が歯の特徴を理解してストリッピングを行えばほとんど問題はありません。

ただし下の前歯はエナメル質の厚みが少ないため削る量には特に注意が必要になります。



5.歯を削る痛みに関して



歯を削るとなるとすごい痛いと想像するのではないでしょうか。

ストリッピングは虫歯を削る処置とは違います。

削る量も僅かのため麻酔も入りませんので安心しましょう。

時間も一本に対して30秒ほどになりますのですぐ終わります。

少し振動があるので響きますが痛くないのでご安心ください。


まとめ


ストリッピングが必要な場合は行いますが症例としては少ないです。

削らなくても矯正歯科治療で治る場合はもちろんする必要がないです。

抜歯をしなくて済む場合や歯の隙間のブラックトライアングルをなくす場合には非常に有効な治療になるので適応症をしっかり見極めて行えば有用な方法です。


最後までご覧頂きありがとうございました。


名古屋で矯正治療のお悩みがあれば無料矯正相談も受け付けています。


なんでもご相談ください。


日本矯正歯科学会認定医 歯学博士


増田 丈浩

最新記事