ブログ

矯正治療で顎関節症になることもあるの?

2020年1月3日

                    
日本矯正歯科学会認定医 歯学博士

増田 丈浩

顎関節症と矯正治療の関係性
皆さん矯正歯科治療をすると噛み合わせも良くなり、顎関節症にも良い影響を与えると思っていないでしょうか?

実は矯正治療でしっかりとした噛み合わせを作らないと将来的に顎関節症になってしまうことは悲しいことによくあります。

顎が痛いと言ってみえて既往歴を確認すると子供の頃に矯正治療をした方もいらっしゃいます。

もともと噛み合わせが悪いせいで顎関節症になっている人ももちろんいます。

《参考サイト》
顎関節症とは!? /日本顎関節学会


大切なのは顎関節症になりやすい噛み合わせを作らない事が大事です。


大切なチェックポイントが2つあります。

 

・歯ぎしりした時の噛み合わせ

 

・正しい顎の位置で噛み合わせを作る


自分の噛み合わせが現在どうなのかも確認してみましょう。

もしかするとリスクが高い噛み合わせかもしれません。

1.歯ぎしりした時の噛み合わせを確認

皆さんは自分は歯ぎしりしないと思ってないでしょうか!?

実は誰もが歯ぎしりをしているという研究データもあります。

 

何故気付かないというとほとんどの方は音のしない歯ぎしりをしているからなのです。

 

歯ぎしり自体はストレスを発散するためにしているので体にとって悪いことではありません。

 

ただし歯には多大な負担がかかってしまいます。

 

この方も歯ぎしりが強く歯がすり減ってしまっています。

 

それではどのくらい歯ぎしりで強い力がかかるのでしょうか?

 

意識がある時の最大咬合力は12kg/cm2ほどになります。

 

ただし睡眠時の歯ぎしりは74kg/cm2という6倍の力がかかってしまいます。

 

歯ぎしりした際の噛み合わせが大事な理由は寝ている時に強い力が発生するからです。

 

それではどうすればいいのでしょうか?

 

答えは歯ぎしりは止められないので歯ぎしりしても

 

負担の少ない噛み合わせを作ることになります。

 

 

まずは正常な噛み合わせの方を見ていきましょう。 

上図はしっかり噛んだ状態の写真です。

 

 

上図は横に歯ぎしりした際の噛み合わせになります。

 

こちらが理想な噛み合わせになります。

 

どういうことかというと歯ぎしりをした際に犬歯で歯ぎしりをし、奥歯が当たらない

 

これが非常に大事になってきます。

 

何故かというと顎関節から一番遠い犬歯で歯ぎしりができるためテコの原理が働き非常に弱い力で歯ぎしりが可能となります。

 

続いて噛み合わせの悪い方を見ていきます。

 

下図は歯ぎしりする前です。

 

 

ぱっと見綺麗に噛んでいます。

 

ただしこの方は顎関節症がありました。

 

 

上図は歯ぎしりをした写真です。

 

お分かりでしょうか。

 

歯ぎしりした際に奥歯が当たってしまっています。

 

これは顎関節から近い奥歯で歯ぎしりをしてしまっているため悪いテコの原理が働き通常の9倍の力がかかると言われています。

 
そのため現在自分で歯ぎしりしてみて奥歯が当たっているか鏡で見て確認して見ましょう。

当たっていればリスクが高い噛み合わせになります。

また矯正治療にはいろいろなリスクが伴います。

知っておいて損はないでしょう。


《関連情報》矯正治療のリスク、デメリット

2.顎の位置を確認

正しい顎の位置については色々な説がありますがここでは顎をリラックスさせ筋肉に緊張がない時の顎の位置をいう事とします。

 

どんな顎の位置にしても毎回測定するたびに違っていてはいけないため

再現性の高い位置になります。

 

例を見てみましょう。

 

この方は顎が痛く口が開かないとおっしゃっていました。

 

そして既往歴に子供の頃に矯正をしたと言っており、その頃からどこで噛んでいいかわからないとのことでした。

 

 

一見してみるとそこまで噛み合わせは悪くないようにみえます。

 

下から覗き込んだ写真でもしっかり噛んでいるようにみえます。

 

続いて顎の位置を正しい位置に持ってきた際の写真になります。(下図)

 

 

 まず正面の写真で見ると上と下の真ん中が一致しているのが分かりますでしょうか?

 

また下から覗き込んだ写真でみると明らかに先ほどと比べると噛んでいません。

 

顎の正しい位置から噛み込むと右前方に顎が誘導されます。

 

何が起こっているかというと

 


リラックスしている顎の位置だとどこかの歯が当たっています(上図)

その位置だと噛めないので当たっている歯が支点になって顎が違う位置に誘導されます(上図)
 

歯の当たり方によって左右前後色々な位置に顎が誘導されてしまいます。

 

これを顎の位置で見てみます。

 


顎の位置は正しく顎の周りの隙間の量も左右均等です。(上図)

ただし歯が一点強くぶつかっています。

この位置は顎にとっては正しいですがその位置で噛めないため何処かの歯がぶつかっています。(上図)

 

その状態から噛み込んだ状態が下の図です。

 




顎関節の状態をみると顎が右に誘導されているため右の顎関節の隙間が詰まっており左の顎関節の隙間が空いてしまっています。(上図)

口の中の写真は一見してしっかり噛んでいるようですが前の写真と比べると右前に顎が移動しているのが分かります。

この状態では左右ともに絶えず顎に負担がかかった状態です。

 

どうしてこのようなことが起きるのでしょうか。

 

矯正治療をしていると歯が動いていきますので患者さんもどこで噛んでいいかわからなくなることもあります。

 

そうすると前で噛んだり横で噛んだりします。

 

それに対して矯正治療をしている先生が見抜けないとこのように顎のズレが解消されないまま治療が終了していきます。

 

また矯正治療では上下の歯に患者さんに使用してもらう顎間ゴムというものがあります。

 

これらは悪いものではないのですが顎関節がゴムに引っ張られてゴムがかかる

力の方に誘導されやすいという欠点もあります。

 

《関連情報》矯正歯科治療で使用するゴムの疑問は全て解決!

 

もちろん矯正治療をしていなくても顎もズレがある人はたくさんいます。

そのため先生は矯正前も矯正治療中も顎関節が悪い方向に誘導されていないか確認することは大変重要なことになります。

自分で確認するのはなかなか難しいですがもし力を抜いて噛むと顎のズレを感じたりする場合は要注意です。

 

3.噛み合わせが悪いと起きる事

・歯ぎしりした時の噛み合わせ

 

・正しい顎の位置で噛み合わせを作る

 

この二つを説明しましたがこれらができていないとどのようなことが起こるか説明していきます。

 

・歯ぎしりで歯がすり減る

 

・歯が凍みる

 

・歯に強い力がかかり歯が割れる

 

・被せ物がある場合、割れたり取れたしする。

 

・筋肉が緊張するため偏頭痛や肩こりになる可能性がある。

 

・歯周病がある場合、進行し、歯が動揺する。

 

・顎関節症の発症

 

様々なことが起きる可能性があるため矯正治療で顎関節を考慮した噛み合わせを作ることは非常に大事になってきます。

まとめ

正しい噛み合わせは非常に大事で顎関節症を引き起こすこともあります。

矯正治療をする前にもしっかり状態を診断し、治療中もリラックスした顎の位置の状態で噛み合わせを作る事が大事です。

歯ぎしりして奥歯が当たらないか

顎をリラックスさせて噛んだ位置にズレがないか

この2つを自分で確認してみてもしあればリスクが高い噛み合わせになります。

また安易に部分矯正をすると噛み合わせは変わらない、もしくは悪化してしまう可能性もあるので注意しましょう。


《関連情報》部分矯正と全体矯正の違いって知っていますか?

 

最後までご覧頂きありがとうございました。

 

名古屋で矯正治療のお悩みがあれば無料矯正相談も受け付けています。

 

なんでもご相談ください。

 

日本矯正歯科学会認定医 歯学博士

 

増田 丈浩